東京地方裁判所 昭和41年(ワ)9585号 判決
〔抄録〕
被告会社が資本金三、〇〇〇万円、従業員六五名で砂利、砂の販売を業としていることは当事者間に争いがない。<証拠>によると、被告会社の営業所は鬼怒川筋に三ケ所、営業所は砂町にあり、その販売先は京王物産、小野田レミコンであり、砂町営業所は砂の中継所であつてその搬出先は九五%がアサノレミコン芝浦工場であつたこと、アサノレミコンへは京王物産を通して被告会社が販売していたものであること、被告会社では運搬も重要な仕事の一つで昭和三八年ころまではその所有の車で運搬していたが経営を合理化するためその車を運転手に分割払いで売り、それぞれ独立させ下請制度に改めたこと、運転手に持たせたのは九〇台にものぼつたこと、その後運搬は運送業者に頼んだこともあるがが指定期限に納入するのに無理もいえず、そのうえ超過勤務はいかんとか都合が悪いとか注文が多いうえに能率が悪いため依頼せず、右のような下請制度をとつていること被告佐藤は二二才の昭和四一年三、四月ころまで訴外興和産工の運転手として被告会社に出入りしていたが、やはり被告会社の運搬の下請をしていた訴外三浦武夫から被告車を代金四五万円頭金一〇万円残金は五万円づつ月賦で支払うとの約束で買受けて被告会社の下請をするようになつたこと、被告佐藤の仕事量のうち半数は被告会社のものであること被告会社の運送を断わる例はあまりないこと被告車のナンバーは自家用となつていたこと、本件事故は被告会社砂町営業所からアサノレミコン芝浦工場へ被告会社の砂を運搬した帰途に発生したものであることが認められ、右認定に反する証拠はない。
そうすると、被告会社と被告佐藤とは請負の関係であつて雇用関係にはないし、原告主張のように車の貸借関係もないといわねばならないが、被告会社は資本金三、〇〇〇万円の会社であり、これに対し被告佐藤はもともとが運転手であつて若冠二二才で中古ダンプを月賦で購入する資力しかなく、請負といつても対等者間の契約ではなく、被告会社がかかる下請制度を用いるに至つた趣旨ならびに経過にてらして、その間に少くとも被告会社の砂を運搬するかぎりは支配監督の関係にあるといわねばならない。しかも右事実からして被告佐藤が被告車を購入するにあたつては、被告会社の運送に従事させてもらえるとの約束があつたであろうと推認され、また被告佐藤は半数は被告会社以外の荷をも扱うというが、その具体的な帳簿などはなく、むしろ専属的に被告会社の仕事をしていたと推測されないこともない。
以外の考案からすれば、被告会社は被告佐藤を通して被告車を自己のため運行の用に供していた者といわねばならない。
従つて被告会社は自動車損害賠償保障法第三条により、かりに然らずとするも民法七一五条によつて本件事故による損害賠償責任がある。
(浅田潤一)